アードラーの夢

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アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。

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On the Road to Buddha

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その後、ガルチェン・インスティテュートと別れを告げ
約束の時間に来てくれた Steve の車に乗って
Prescott まで送ってもらう道での出来事です。

町までの道の大半は、茶色く乾いた primitive road です。
両側に広がるのは、いわゆる ranch(牧場)と呼ばれるもので
ところどころに牛や馬が放されていますが、人っ子ひとり見えません。
人家もどこにあるのか分からないほどだだっ広い土地と
低く垂れ込めてきた曇り空だけが延々と続いている中、

突然人影が現れました。

黄色、というよりは土色の布を頭からかぶり
やはり土色のバッグをかついで
背筋をのばしてまっすぐに歩いているのは
女性のようでした。

「Theravada woman...」Steve が呟いて速度を落としました。
「よかったら乗っていくか?この車には女(私のこと)も乗ってるよ」と
その女性に声をかけました。

「Where are you going?」その女性が尋ねました。

彼女の目的地は、Prescott よりもまだ先のようです。
「どこまででも送ってあげたいが、after Prescott there's no woman.」

テーラバーダの女性はしばらく考えていましたが、
「Well, I just keep on walking the road.
Probably somobody with a woman will pick me up.」
「でも現れないかもしれないよ...」
「Probably may not. But I like to just go on the road.」

Steve は、このあたりの道を教え、
もう一度行けるところまで乗せていってあげようと申し出ましたが

彼女は、
「ご親切にありがとう。でもやっぱり私は歩いて行くわ」と、
いったん置いた荷物をまた肩にかけました。

「Cell phone をもっているか?」
「No, I don't have a cell phone」
女性はもう歩き出しています。
「Wait, what is your name?」
その名は、私には聞きとれませんでしたが、Steve は
「Nice name!」と叫んで発車しました。

私はいそいで窓を開け、彼女に合掌しました。
唯一の女性である私に向かって彼女は微笑みを返し、
後ろの土埃の中に消えました。

陽に灼けた顔と薄茶色の瞳。
薄い乾いた唇。
西洋人のようでした。

テーラバーダ(上座部仏教)のどの宗派なのか分かりませんが、
巡礼の途上なのでしょうか。
そして彼女の戒律では、
男性と同席することが固く禁じられているようでした。

ずっしりと重たい荷物を担いで
彼女は何時間もこの荒れ野を歩いてきたのでしょう。
そしてこれからも歩いていくことを、彼女は選びました。

いきなり現れ、また消えていった女性。
不思議な manifestation.

彼女は私たちにだけ見えた幻だったのかも・・・

 I just keep on going this way.
 I just keep on going this way.


あぁ! 彼女は
今の楽を選ばず、戒律を守ることを選んだ。
今の苦を選び、未来の楽を選んだ。

私がこの10日間、何度も何度も
ガルチェン・リンポチェに教えていただいた戒律 samaya は何だったでしょう?
それは、菩提心 Bodhicitta です。

 この世の楽にとらわれず、
 六波羅密を完成し、
 ターラー菩薩を心に念じ
 自他の妄分別を捨てること。

あの女性は、私たちの旅立ちに際しての
リンポチェからのメッセージだったのではないか
あの女性の姿は仏さまの顕れだったのではないか

そう気がついて
後ろの座席で私はひとりで泣きました。


 Just keep on going this way.
 Just keep on going this way.

私の道は何でしょうか。
私の道はどこへ続いているのでしょうか。

それはたぶん、楽なものではないのでしょう。
荒れ野に通る歩きにくい道。
自分の荷をもち自分で歩くしかない道。

 歩き続けるのじゃ
 忘れるんじゃないよ

とリンポチェが教えてくださったのだと

私には思えてなりません。

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これで Chino Valley への旅の話は終わりです。

読んでいただきありがとうございました。




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by prem_ayako | 2018-02-03 23:49 | tibet

Namo Sangha Ya!

1月8日のことをまだ書いていませんでした。

プログラムはすべて前日に終わったので
もうリンポチェにお会いすることはできません。
リンポチェもアニもラマたちも、通訳のイナもみな
あの2階建てのお屋敷のお部屋で休んでおられることでしょう。

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朝ごはんはタシ・ハウスですませることもできましたが、
最後にもう一度コルラをするために、
夜明けに山を上っていきました。

来た最初の頃のJ先生は
この坂を上るのがほんとうにお辛そうだったのですが、
今は、ゆっくりとですが確実に歩いて行かれます。
ほんとうに来てよかった。。。

何度も何度も
おんたれとぅったれ・・・とターラー菩薩真言を唱えながら
塔のまわりをコルラしました。

この日は、ここへ来てはじめての曇り空で
考えてみればこの十日間まったく雨は降りませんでした。
毎日、抜けるような青空で、
毎夜、降るような星空で、
チベット人の言う「なむかー(虚空)」とは本当はどのようなものなのか、
私は生まれて初めて知りました。

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  顕現するもの自分の心なり (三十七の菩薩業 第二十二偈)  

このガルチェン・インスティテュートが
こんなにも清いバイブレーションに包まれて
小鳥がさえずり
すぐそこを鹿が歩き
朝焼けも夕焼けもため息がでるほど美しく
晴れていても雲があっても空は透明で
遠くの山はいつも表情を変えて
私たちに語りかけてくるのは

ここに集った私たちみんなの心の顕れなのだと思いました。


いつの日のセッションだったか、
ご法話の後、全員で「法身普賢の誓願」をお唱えしたら
たいへんリンポチェがお喜びになられ、お目を少しうるませて
「なも・さんがー・やー!」「なも・さんがー・やー!」と
何度もおっしゃりながら退出されたことがありました。

このとき私も、ただ一心に、お経を唱えていたのです。
おそらくサンガのみんなの心がひとつになっていたのでしょう。

リンポチェの喜んでおられるさまを見て
あぁ、このお方に喜んでいただけるようなサンガを、日本にも作りたい
と、はじめて心の底から思いました。

  顕現するもの自分の心なり

ガルチェン・リンポチェのお力のおかげで、
このたび集まった私たちみんなの心が清まって
ここに美しい世界が顕現しました。

しかし、ということは
リンポチェのお力に頼って実現したこの聖なるサンガは
集まる衆生の心によって変化するということです。
この Buddha Field も無常なのです。


私のすべきことは
この美しい場所にまた来たいと願うことではなくて、
この美しい場所を自分のまわりに作るために
努力していくことだと気がつきました。


心がリンポチェと共にあり、
心がリンポチェと結ばれておれば
いつかこの世界を作り出せるはずです。

私は非力ですが
リンポチェとつながる仲間を
ひとりずつ増やしていくことで、
その先に、いつかサンガができるはずです。

大きな気づきを得たような気がします。

なも・ぶっだ・やー!

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by prem_ayako | 2018-02-03 23:23 | tibet

アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。


by prem_ayako