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アードラーの夢

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アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。

Bottom Out

みなさんご存じのように
12月半ばから、大きなJ先生のご体調が急に悪くなりました。
常識的に考えたら、アメリカへの長旅は
当然キャンセルすべきような状態でした。

しかし先生は
ぜったいに行く。と。

これがリンポチェにお会いする旅でないなら
キャンセルしたと思うのですが・・・


これまで、いつどこへ行くときも、先生はお兄ちゃん役で
一切のチケットを管理して先導してくださっていました。
ですが今回の旅では
いつもは妹役に甘んじている私が
しっかりしなくてはなりませんでした。

どれだけ状態が悪かったかというと、
重い荷物を引っぱっては、最寄り駅まで歩くのも無理なほどだったので
家から関空までタクシーに乗って行きました。
2万円ぐらいかかりました~(>_<)

ロサンジェルス空港でフェニックスまでの国内線に乗り換える
その通路の遠かったこと!
正直、車椅子を借りようかと思ったぐらいでした。

フェニックスで1泊して
翌日プレスコットまで2時間のシャトルバス。
バスを降りてからガルチェン・インスティテュートまでタクシーで
泥だらけの primitive road を1時間。

ようやく山の上の事務所で手続きをして
施設の概要を説明してもらい、
また少し山道を下りて
中腹にあるゲストハウスに入りました。

遠かった!
予想以上に遠かったです~(>_<)


12月29日、最初の夜、
先生は夜中に2度も鼻血を出されました。
寝ていると、いきなりぽたぽたと出血するのです。

その日に貸してもらったばかりの枕カバーもシーツも
持って行った寝間着も血だらけです。

途方にくれてしまいました。

翌朝、朝食を運んできましょうかと申し出たのですが、
やはり先生は拒否されて
ゆっくり、いっしょに坂道を上りました。

先生は足が上がらないようです。
まっすぐに歩けません。
身体のバランスがうまくとれないようです。
砂利に足をとられそうになるので
手をつないで歩きました。
長く苦しい坂でした。


その日、先生は休み休みしつつ
リンポチェの金剛さったの灌頂を受けられ
夕食のあと、
満月に近い大きな月が昇る道を
先に宿へと下りていかれました。

私は「ターラー菩薩成就法」の実習に出ることにしたので
Temple で、他の人たちといっしょにお唱えをしながら
さっき山道でJ先生とお別れしたその光景が何度も何度も浮かんできて
泣けてしようがありませんでした。

Bottom Out_b0253075_17070798.jpg

2017年が終わります。
今年は父が亡くなりました。
おひげリンポチェも亡くなりました。

大きな丸い月。
背の高いJ先生の少し丸くなった背中。
土埃の薄暗い急坂を
いつものように首を少し右にかたむけて
一歩一歩下りて行かれる姿。

・・・そして私はここに残っています。
いつかこのような別れがくることを
見せつけられたような気がしました。


Teaching や Practice の間、
私はずっと出入り口近くの最前列の席にいましたが
J先生は、いちばん奥の壁際の椅子席を選んで座っておられました。

翌31日の昼食休憩の時、
先生は、奥から座布団の間を縫って出口まで歩いて来る間に
バランスをくずして転倒してしまわれました。

特にお怪我はなかったものの
身体を支えきれず転んだということに
とても落ち込んでしまわれて
見ていて気の毒なほどでした。。。

思えばこのころが、底だったかもしれません(T_T)






by prem_ayako | 2018-01-18 00:27 | tibet

アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。


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