アードラーの夢

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近江学・石

以前から興味があった穴太衆(あのうしゅう)の石積みを見るべく、
比叡山の麓、坂本の町へ行ってきました。
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滋賀に引っ越してきてまもなく
地元の銀行へ口座開設の手続きに行ったのですが、
待ち時間に銀行の本立てにさしてあったのが、
『近江学』という聞いたことのない名前の雑誌でした。

どうやら、地元にあるらしい成安造形大学に附属する
「近江学研究所」とやらが、年に1冊出している機関誌のようです。

ぱらぱらとめくって、美しい写真としっかりした文章に驚きました。
帰ってからネットで検索して、
最終的に、創刊号から第8号まですべて大人買いしました。
われながらオタクです。。。
でも、いつ廃刊になっちゃうかわからないしね(失礼!)

どの号も充実の内容でしたが、
特に最初に手に取った第4号の特集「石のある風景」はすばらしかったです。
縁あって滋賀に住むことになったのですから、
この号に詳しく紹介されている坂本の町を
ゆっくり散策してみたくなりました。

琵琶湖の西岸、滋賀県大津市中部。比叡山東麓の坂本、穴太(あのう)とその周辺に、古代より高度な技術をもつ石工の集団が居住し、独自の石積み文化を形成していた。彼らは戦国時代になると「穴太衆」と呼ばれ、安土城、大阪城、伏見城、江戸城大改修を始めとする全国各地の城郭石積みによって、一躍その名が広まっていく。現在坂本を拠点に、千年を超える伝統的な石積みの技術を継承するため、研鑽を積み、活動を続ける穴太衆最後の石匠の一家がいる。「石の声を聴け」。代々この家に伝わる家訓だ。この言葉は、身の丈を超えた巨大なシステムや力に依存し、自然界の声に耳を傾けることを忘れた私たちの生き方に見直しを迫る。 「文化誌近江学 第4号 2012.01」成安造形大学附属近江学研究所 サンライズ出版

なんかすごぉく気合い入ってないですか?
いったい誰が読むんや~!と思いながら、
私自身たいへんはまってしまって、すみずみまで楽しく読んだのでありました。

この本は、なんと穴太衆の石積み方法まで
詳細にイラストで説明してくれているのです。
それによると、
見えている石垣の表面【石表(いしおもて)】の奥には
【グリ石】と呼ばれる石が、
石垣の高さの3分の1の奥行きまでびっしり埋めてあるのだそうです。

石垣の一番上に置いてある石を【天端(てんば)】といい、
そのひとつ下の石は【天下(てんした)】、
その下の石垣の勾配を作る重要な石を【艫介石(ともかいいし)】といいます。
ちなみに地面に接するところの石は【根石】、
地面の下に埋めてある石は【捨石】といいます。

1個の【艫介石(ともかいいし)】を置くにも、まわりにいくつもの石が必要です。
すき間を埋める細かい石は【グリ石】、
艫介石の脇を支える石は【脇石】
艫介石と艫介石の胴部分のすき間を埋める石は【胴介石】というのだそうです。

で、穴太衆積みの技術の伝承者は、
山から運び出して現場の隅に積んである石を眺めただけで、
「あの石、そこ」「その石、ここ」と、あっという間に選んで
どんぴしゃりと納めていくのだそうです。
「石の声」が聞こえるんだそうです!

こういう技術に私、惹かれますわ~っ!
(ヘンかしら?・・・ヘンですね)

でもね、それぞれの石に、役割に応じた名前がつけてあって、
経験と勘で、その石の納まる位置を瞬時に見分けていく
・・・って、凄い技ですよね。
どことなく、カウンセリングや心理療法に通じるものもありそうな・・・。


b0253075_13595544.jpgさて、少し暑すぎるぐらいの初夏の1日、
大きなJ先生と出かけました。

うちの最寄り駅からだと、
琵琶湖の南岸をぐるりと廻って、
のどかな路面電車で30分ほどです。

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駅を降りると、どこもかしこも石垣ばかり!
大小さまざまの野積みの山石の、暗い灰色と、緑の苔。
すき間から生え出る草花が美しいです。




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これらの石は、運び出した自然石を
ほとんど削らずそのまま使っているそうです。









私たちは削り取った石灰岩を砕いて
水と砂と混ぜてコンクリートにして、
それを固めて建てた家に住んでいるわけですが・・・


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なんだか、大地への根づき具合が全然違いますねえ。


こんな近所に
こんなにも落ち着いた美しい町があるのは、ありがたいことです。



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秋の紅葉、
冬の雪景色のころ、

また訪れたいと思いました。
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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by prem_ayako | 2016-05-26 14:22 | travel | Comments(0)

アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。


by prem_ayako