アードラーの夢

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アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。

Balthus

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「バルテュスはまず、光と形を描く。」アントナン・アルトー

バルテュスの名を知ったのは、たぶん大学生のときだったと思います。

当時は澁澤龍彦が大好きで、主にエッセイを読みまくっておりました。
不思議に、ご本人の小説はあまり読まなかったです。
私にとって澁澤龍彦は、いわば絶対に確かな案内人で、
彼についていけば必ず、
私の知らない素晴らしい世界に分け入ることができる。
という存在でした。

澁澤さんがちょっとでも言及した相手なら
かたっぱしから、その本や絵を味見しました。
そうやって若いこの時期に、たくさんの文学と美術に触れ、
澁澤龍彦ならではの、衒学的な知の世界に導いてもらいました。

中でも私が愛したのは
文学だとコクトー、バタイユ、ボルヘス、稲垣足穂。
絵画だと、ルドン、バルテュス、などでした。

バルテュスは、1908年~2001年、
20世紀を生きたパリ生まれの画家です。
本名はバルタザール。そう、ユダヤ系です。

バルテュスの展覧会は、実は1984年にも京都で開催されました。
その頃私は、結婚してすぐで、まだ子どものいない頃で
友だちを誘ってもそれぞれにみな忙しく
バルテュス?何?という感じで
けっきょく機会を逃して行けなかったのです。
とっても残念だったので、
今回は、何としてもホンモノのバルテュスを見たい!
今回を逃したら、もう一生見れない!と思い、
忙しいさなかに京都に行ってきました。

前置きが長くなりました(^^;)
でも美術ってけっきょくは
人生の中にどう納まっているかで、意味をもつんじゃないかと思います。

「美しい日々」
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絵の迫力に圧倒されました。
図版で何度も見たこの有名な絵は、実物は横幅2mもの大きさでした。
塗り込められた絵の具のすみずみまで
画家の神経が及んでいます。
凄いエネルギーです!

「読書するカティア」
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これも横幅2m以上です。
先の「美しい日々」から20年以上たって描かれた
まさに円熟期の作品。
なんてシンプルな構図でしょう。
そして絨毯と壁の質感・・・!
(マティエール、と専門用語では言うみたいです)

具象ですけどシュールレアリスムじゃない。
抽象でもないけど、リアリズムでもない。

バルテュスの描くのは、光。
それもレンブラントのようなドラマティックな光じゃなくて
やわらかい、素材そのものが発しているような光です。

「横顔のコレット」
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こんなやわらかい光を、どうやったら描けるのでしょう。
バルテュスは、自分を「職人」だと言っていたようです。

「猫と裸婦」
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フレスコ画のような、クラシックな質感なのだけれど
かもし出される雰囲気は不安定で、20世紀的です。
止まった時間、合わない視線、独特の空気感。

b0253075_1613338.jpg「窓、クール・ド・ロアン」
展示作品の中で、
私がいちばん気に入った絵です。
バルテュスにしてはめずらしく、
人物のいない画面。

バルテュスの絵の主役は、
いつも光そのもののようです。
絵の中の人物は、みな美しい置物のようです。
なので逆に、この窓のある部屋はそれ自体が
まるで光を発する生きたもののように見えます。


もしも30年前のあのとき、
20歳代でバルテュスを見ていたなら、
ひょっとしたら私は
今とは違う私になっていたかもしれません。

というぐらいのインパクトがありました。
絵って凄いですね。

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by prem_ayako | 2014-08-19 16:26 | others | Comments(0)

アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。


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