アードラーの夢

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Out From Tibet, From Inside Tibet

書きたいことはいっぱいあるのに
ついうっかり貯めていたら
もう年の瀬じゃありませんか。
・・・まぁ、ゆるゆる書いていきます。
ちょっと前の話からです。

晩秋は、パセージ・プラスの開催やら
大きなJ先生のパセージのお世話やらで
毎週火曜と金曜に仕事が入って、たいへん忙しく過ごしていました。
そんな中、チベットに関する映画を
2本立て続けに観る機会がありました。

どちらも会場は京都だったのですが
こんなチャンスはめったにないので、がんばって行ってきました。
(おかげでその後、風邪が長引くことになりましたが(>_<))

1本目は、チベット本土(=中国領チベット自治区)に住んでおられる
ペマ・ツェテン監督の『静かなるマニ石』という映画です。
12月5日(木)夜、京都・北大路の大谷大学にて、
監督自らが来場されて、無料の上映会があったのです。

私は、ただチベットのカムやアムドあたりの風景が
映し出されるだけで感動してしまうのですが
出演者もまた、そこで暮らす地元のチベットの方々でした。
ドキュメンタリーではないのですが、
できるだけそのままのチベットを描くための監督のやり方のようです。



とぉっても美しい映像で
チベットの伝統や文化がしだいに失われていく様子を
ただ淡々と映し出していました。
その現実を良いとも悪いとも言わず
宗教色も出さず
ただ、そのままに。

ペマ・ツェテン監督の映画は、
海外の芸術祭で多くの賞を獲得しているだけでなく
中国国内での評価も高いそうです。
中国領内チベットを舞台に
中国国籍チベット人たちの
チベット語の会話を撮ることが許されているのは
彼の映画があくまで寡黙で
メッセージを出していないからでしょう。

それでも!
チベットの文化を、
チベットの言語を
そのまま映像に残しておくことが必要だと
監督は考えているのでしょう。

大谷大学では、監督とプロデューサーと、
チベット語大家の星泉さんとを交えた
シンポジウムもありましたが
ヤバイことは何もお尋ねしない約束になっているみたいでした。

・・・そりゃあ、中国国籍の方たちが、
公の場でチベット問題を口にできるはずがありません。
世界中どこにいたって同じです。
あの会場内に、絶対に目が光り、全て記録されていたでしょうから・・・。


その次の週、10日(火)の夜、
今度は京都・蹴上の国際交流会館で
岩佐寿弥という日本人監督による
ドキュメンタリー映画『オロ』の上映会がありました。
監督は、この映画が遺作となり、昨年亡くなられました。

監督が日本人ですから、日本映画です。
カメラワークも、ああ日本映画だな、という感じで
・・・それに、メッセージもストレートで、
前の週の映画と違って、リラックスして観ることができました。
(ついでに言うと、会場の雰囲気もまったく違いました)

オロは、6歳でヒマラヤを越えてインドに亡命してきた
撮影当時10歳の男の子です。
彼が暮らす「チベット子ども村(TCV)」での学業や寮生活の様子を
オロの目線で活写してくれていました。



小さな子どもがどれほどの体験を経て亡命したか!(涙)
故郷の親は、危険を承知で子どもだけを送り出すのです。。。
そこにどれほど多くの、言い尽くせない思いがあるか(涙)

夫(トンドゥプ・ワンチェン)が本土の牢獄につながれている妻は
生きるために朝早くから必死で働いています。
その中で、子どもの誕生日を祝い、
川で洗濯をして、故郷の歌を歌います。

1年ほどの撮影や旅を通してオロは成長していきます。
「監督は、どうして映画を撮っているのですか?
 しんどくないのですか?お年なのに」と聞くオロ。
「僕はね、チベットが本当に好きなんだ。だから撮りたいんだよ」と岩佐監督。
それを聞いたオロは即座に「ありがとうございます!」と言います。
その真顔を見て、また私は涙が出ました。
彼は小さいけれども、全チベット人を代表して
ここで監督にお礼を言ったのです。

とてもよい映画でした。
機会があれば、ぜひご覧になってください。
ハンカチ必須です。


ところで、オロくんは10歳ですが
目の動かしかたや、肩をすくめるちょっとした仕草などが、
私のお気に入りのラッパー、スイス在住のシャパレくんによく似ています。
きっとチベットの男の子って、本来こういう感じなのでしょう。
けっこうお茶目で、ちょっとシャイ。
私の知っている何人かのチベット僧の方たちも、
共通した雰囲気を持っておられます。

チベットの外側にいれば、
貧しくても、
楽しいとか、さみしいとか、
至極もっともな自然な思いを、
そのまま口にすることができます・・・

しかし内部にいるペマ・ツェテン監督と
ペマ監督の映画に出てくる人々は
謂わば硬直しているようで・・・
心の中の思いを覗かれることを
拒否します。
覗かれてはならないからです。


制限ぎりぎりの緊張の下、チベットの姿を
美しい映像に残すこと自体が、
ペマ監督のメッセージといえるかもしれません。

帰国されても何事もなく
お仕事を続けられますように。
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Commented by nobu at 2013-12-31 15:26 x
 OLO良かったんですね! ご縁があったあやこさんに拍手。
Commented by prem_ayako at 2013-12-31 15:59
nobuさん、ありがとうございます。大谷大学の方ではお世話になりました!
今まで私が触れてきたものは、全て out from Tibet からの発信だったということに気がついたので、今、from inside Tibet の本を読みあさっています。大谷大学でもらった雑誌「セルニャ」を参考に、まずはトンドゥプジャの『ここにも激しく躍動する生きた心臓がある』を読み終えました。なかなかおもしろかったですよ!
お正月の間に、ペマ監督の『ティメークンデンを探して』が届くはずです。
by prem_ayako | 2013-12-29 23:08 | tibet | Comments(2)

アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。


by prem_ayako