アードラーの夢

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アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。

龍蔵院巡礼

タンカ絵師であるチベット語の先生のお供をして
広島にある龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院に行ってきました。
日本で唯一の、正式のチベット仏教の僧院です。

(他にチベット寺院だと称しているお寺がありますが
中国共産党公認だったりするので、ご注意を)

広島駅からタクシーで約10分。
さらに山へ向かって小道を登ったところにある
高野山真言宗牛田山龍蔵院
そこに、インドの再建デプン寺ゴマン学堂から派遣された
3人のチベットのお坊さまが住んでおられます。

前から一度訪れたいと思っていたところ、
先生が描きあげたタンカ(仏画)を持って行かれると聞いたので
急遽、便乗させていただくことにしたのです。
せめて私は荷物持ちを・・・と思い
美しいターラー菩薩さまの絵を運ばせていただきました♪

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五色のタルチョがチベット世界への境界・・・
特にチベット風のお寺が建っているわけではなく、
ただ山の上の古いお堂と小さな庵を使っておられるのです。。。

がらがらと和風の引き戸を開けると
えんじ色の衣を召したお坊さま方が迎えてくださいました。

あとでホームページで確認して、私がお会いしたのは、
赤いフリースのパーカーを着ておられたのはゲンギャウ師
(インド・ザンスカール生まれ)
えんじ色Tシャツの上にえんじ色ジャージをはおっておられたのはアポさん
(チベット・カムのリタン生まれ)、そして
ひとり白の毛糸の帽子を被ってなぜか竹とんぼをもてあそんで
ほとんどお話に入られなかった方はゲンチャンパ師
だったと分かりました。
(おぉ、なんて視覚型の覚え方)

まずは本堂にお参りさせていただきました。
日本建築ですが、飾り付けや仏さま方は、みなチベタンです。
中央に釈迦牟尼仏、まわりに剣を振り上げた文殊菩薩や四手の観音菩薩。
バター灯明も並べ灯されて
写真や映像で見るチベット寺院の壮大さに比べればとてもつつましやかですが
本物のチベットのお堂に詣らせていただけて、嬉しかったですw

お坊さま方が生活しておられるのも、ほんとうにつつましい庵です。
玄関を開けてすぐの和室の壁には
最近の法王のお写真や、お若いころのお写真、
ここを創られたケンスル・リンポチェ(昨年ご遷化)のお写真、
法王とケンスル・リンポチェのツーショットなどが
ところせましと飾られていました。

畳の上にはホットカーペット。
その上に和机がふたつ。
お茶やお下がりのお菓子や本やめがね。
壁のホワイトボードの予定表には
ひらがなで「そうじ」「16じ ほうよう」などと書いてありました。
生活感、あふれてます(^^)

となりの台所でお湯をわかし
ゲンギャウさん自ら、大きなやかんからチャイをふるまってくださいました。


タンカ絵師である私のチベット語の先生は
ダラムサラに9年も住んでおられたので
チベット人と見紛うばかりにチベット語ぺらぺらです。
ゲンギャウさんもアポさんも楽しそうに
チベット語でぺらぺらぺら・・・。

日本語も少しはお分かりになるようなので
私も、「タシデレ(=こんにちは)」ぐらい言えばよかったのですが
なんかもう日本語で「こんにちは」とご挨拶をしたあとは、
チンと座ってみなさんの会話を聞いておりました。
久しぶりに末子的立場で
大人たちの会話を目を丸くして聞く子どもになっていました(^^)

さて本来の目的、
ターラー菩薩の開眼供養をしていただくときは、
ゲンギャウさん、僧服に着替えてこられました。

とたんに、放たれるエネルギーが
変わりました。

開眼のお経を読まれながら
お米をぱらぱらと額装のガラスの上に撒かれると
途中から、ターラー様の美しいお顔が
生き生きと表情をもって微笑まれたように感じました。

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命が吹き込まれた・・・

私の妄想かもしれませんが
そんなふうに見えました。


それが終わると
またゲンギャウさん、もとの赤のフリース姿に戻り(笑)
お茶を飲みながら
ゆる~い時間を過ごしました。

ゲンギャウさんが5月から赴任される故郷ザンスカールの僧院のこと、
アポさんの故郷カム、リタンのこと、
先生が昨夏に本土、ラサに行かれたときのこと、
共通のダラムサラのお知り合いのこと、
お経についてのちょっとした質問、など
あれやこれやあれやこれや

もちろん、私には全くわかりません。
ちんぷんかんぷんです。
(それにしては話題はある程度つかめていたから
 やっぱり少しは単語を拾っていたのかな?)

先生にお願いすれば通訳していただけたのですが
私が加わって何か言うような話ではなかったし
それよりも、チベット語の抑揚を味わったり
内容によって変化するお坊さま方の表情を見ているのが楽しくて、
じゅうぶん満足でした。

楽しそうにおしゃべりしておられるみなさんを見ているのが
楽しかったのです~

時に、とても不思議な気持ちになりました。
ここにいるのは
インド生まれの仏教博士と
20年前にヒマラヤを越えて亡命した若い僧侶と
チベットに出会いチベットの仏さまを描く職業を選んだ日本女性と
そして、まったく言葉を解していないこの私です。
なぜか日本の広島のひとつの小部屋で
座っていっしょにチャイを飲んでいるのは
なんだか奇跡のようだと思いませんか・・・?

さらに不思議なことに、
このとき私は言葉が分からないことについて全くストレスがなく、
話題によって、波のように、彼らの感情がはなやいだり静まったり
彼らの思いが雲のようにたゆたったりするのを
言葉を介さずに、ただ感じていました。

時に、ふと声のトーンが下がり
「そうだね・・・」「ああ、まったくね・・・」と
誰もが無口になり考え込む瞬間があったり。。。
あるいは、ふと私にほほえみかけ
お茶やお菓子を大きな手を振ってすすめてくださったり。

相手の言っていることを理解しなくては、とか
ちゃんとわかって上手に反応しなくては、とか
緊張したり焦ったりする気持ちが全くなくなっていて、
それがとても心地よく、楽でした。


b0253075_024156.jpg2時間ほどそうやって時を過ごしてから
ゆるゆると腰を上げ、
またターラーさまの額を抱えて先生と帰ってきました。

いい時間でした。
また行きたいな。

ゲンギャウさんとの写真を撮っていただきました。
それが今生であるかどうかは別として
またお会いできますように・・・!
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by prem_ayako | 2013-04-24 00:37 | tibet | Comments(0)

アードラー先生は夢を見なかったそうです。しかしてアードラーの夢とは兎の角、虚空の華、ガンダルヴァの城、空、幻・・・。


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